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入社前のギャップを解消して人材の定着を図る

入社前のギャップを解消して人材の定着を図る

人手不足が深刻化する中、優秀な人材の採用自体が難しくなっています。また、せっかく採用しても人材が定着しなければ意味がありません。昨今では会社と人材のマッチングを重視した採用スタイルとして「リファラル採用」も注目されています。本稿では、リファラル採用を例としてマッチング率を上げることのメリット、およびHRテクノロジーを活用した離職防止のポイントについて説明していきます。

マッチングを重視するリファラル採用

リファラル採用とは、簡単にいえば社員に人材を紹介してもらう採用方法のことです。「リファラル(referral)」は、英語で「紹介」や「推薦」を意味します。
これまでの採用は求人紹介サービスや人材派遣会社を利用して募集するのが一般的でした。ところが近年の売り手市場において、企業が思うような人材を集めることが難しくなっています。また、せっかく採用したはいいものの、実際に入社して仕事を始めると適性やスキルが企業の望むものと異なり、そのギャップが原因で早期離職につながってしまうケースが見られます。
その点、社員の紹介によるリファラル採用では、紹介側の社員が企業の風土やコンセプト、事業の観点から求められる人材の適性・スキル条件などを理解しています。そのため、あらかじめマッチングのフィルターを経た人材が紹介されるケースが多く、マッチング率が高くなる傾向があります。マッチング率が高ければ、必然的に高い定着率も期待できるというわけです。

採用コストの圧縮が可能

リファラル採用を行う企業が増えた背景の一つに考えられるのが、採用コストの増大です。従来の採用方法では、求人紹介サービスや人材派遣会社の利用コストが必要であったり、会社説明会、セミナー、採用試験などを開催するコストがかかったりします。会場の利用料や、地方でセミナーを開催する際には出張費、いうまでもなく人事担当の人件費がかさみます。リファラル採用ならこうしたコストを抑えられるのがポイントです。
さらに、従来の方法でマッチングがうまくいかず、早期離職となれば、これらにかけたコストに加え、社員教育に費やしたコストや時間も無駄になってしまいます。一般的にマッチング率が高いリファラル採用であれば、そのリスクも減らすことができます。
リファラル採用のメリットとして、就職・転職活動を行っていない人材へのアプローチが可能となる点も挙げられます。社員の知り合いに企業が求める適性・スキルを持った人材がいれば、他社との競合なしに、いわゆる就職・転職市場に出てこない優秀な人材と巡り合うことも可能になるわけです。
実際にアメリカをはじめとする海外の大手企業で、リファラル採用はメジャーな採用方法として定着を始めています。2016年にアメリカのキャリアコンサルティング会社が大手グローバル企業約200社を対象に行った調査では、9割近くがリファラル採用の仕組みを取り入れており、新規採用の約4分の1以上がリファラル採用によるものという結果が出ています。
日本でも、ここ数年でリファラル採用を実施、あるいは検討・準備中の企業が急激に増えているという調査データもあります。

リファラルのデメリットや縁故採用との違い

もちろん、リファラル採用が万能というわけではなく、デメリットもあります。たとえば、多様性が欠如する危険性です。
社員の紹介で入社する人材が増えると、以前から在籍している社員と同様の価値観を持つ社員が増え、多様性が失われる可能性があるからです。この点では広く募集を行う従来の採用方法に軍配が上がるといえるでしょう。ただし従来の方法であっても、人事が画一的なフィルターを適用して人材をふるいにかけてしまったら同様の事態が発生し得るので、リファラル採用だけに潜む問題とはいえないかもしれません。
また、紹介した社員が離職してしまった場合、その社員の紹介によって入社した人材も離職する可能性が指摘されています。紹介元の社員が競合会社に転職したら、紹介で入社した人材も一緒に競合会社の手に渡ってしまうかもしれません。紹介側と紹介で入社した人材の間でトラブルが発生した場合も、どちらかあるいは両者が離職してしまう可能性はあります。
そのほか、リファラル採用で入社した人材が他の社員から「コネ採用」と見られてしまう危険性もあります。実は日本では、以前から「縁故採用」が広く行われてきました。まさにコネ採用で、社員の家族や血縁者、関係者などを無条件に近い形で採用する方法ですから、マッチングのフィルターはかけられません。一方、リファラル採用は、いわゆる縁故採用とは異なります。社員と関係がある人材を単純に採用するのではなく、紹介する社員が有する一定のマッチングフィルターを通したうえで行うものです。
しかし社員の中にリファラル採用への理解が浸透していないと、紹介で入社した人材がすべて縁故採用と見られ、他の社員が不公平感を覚えてしまうかもしれません。また、紹介側の社員が幹部であったり、人事担当の上司であったりすると、マッチングを経ずに紹介された人材を断れず、実質的な縁故採用にとどまってしまうことも考えられます。
こうした事態を避けるため、リファラル採用を導入する場合はマッチング重視の意義を社員にきちんと説明し、具体的な制度として確立することが必要でしょう。

離職防止につなげられるHRテクノロジー

リファラル採用を例に、社員の採用にあたってマッチングが重要であることを紹介してきました。マッチング率を高めることが、ひいては定着率の向上につながり、会社が必要な人材の確保を実現できます。
人事業務の効率的かつ効果的な運用をサポートする目的で発展したHRテクノロジーにも、リファラル採用に限らず採用一般におけるマッチングを成功に導き、離職防止につなげられるものが数多く存在します。
たとえば、AIを活用し、採用前の段階で企業とのマッチングを評価するサービスがあります。こうしたサービスを利用することで、企業と個々の人材とのマッチング率を高められます。
また、採用後も社員の個人データを分析し、AIと組み合わせることで、マッチングがうまくいっていない状況を早期に見出し、離職予防につなげられるテクノロジーもあります。このほか、個々の社員の特性に応じた育成や人事配置、評価などにHRテクノロジーを活用することで、離職のリスクを減らすことも可能です。

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