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HRテクノロジー

AIが人材マネジメントを変える

AIが人材マネジメントを変える

さまざまな分野で脚光を浴びているAIですが、HRテクノロジーにとっても欠かせない技術です。AIが発展し、実用化に向けたチャレンジが進むにつれて、 ビジネスの世界でも将来性豊かな活用法が次々と登場しています。本稿では、進化するAIとHRテクノロジーによって、人事部門の業務にもたらされる変革について説明していきます。

HRテクノロジーに欠かせないAIの存在

「AI」は今もっともホットなトピックです。AIは“Artificial Intelligence”の略語で、日本語では“人工知能”と訳されます。もはや誰もが知っている言葉ですが、では「AIとは何か」という話になると、多くの人がまだ的確な答えを持っていません。学界でも確定した定義はないのが実情ですが、「人間が話したり書いたりする自然言語を理解し、その理解をもとに知的判断を行うプログラム」だと考えておけば概ね間違いないでしょう。
現在、AIを実現する技術としては、「機械学習」「ディープラーニング(深層学習)」の2つが大きな柱になっています。機械学習は、簡単にいえば人間がAIに対してさまざまな条件(判断材料)を教え込ませ、その学習の蓄積をもとに人間の言葉を理解する手法です。一方のディープラーニングは、機械学習を一歩進め、理解のための条件自体をAIが自ら考案することで理解する手法だといえます。
HRテクノロジーにおいても、前回説明したビッグデータに加えて、AIの活用が求められつつあります。人事の分野には、労務管理や給与・報酬等の計算に加えて、人事評価、人材配置、採用、教育・育成、組織の活性化などさまざまな業務があります。数値や文字、画像・映像、最近でいえばGPSの位置情報やモバイル端末のセンサー情報といった多彩なデータを収集・蓄積し、そのビッグデータをAIに関する技術(機械学習、ディープラーニング)を駆使して分析することで、これらさまざまな業務に真に活用できるHRテクノロジーが成り立っているのです

AIで実現できる生産性向上

現状のAIは、上に書いたように、主にデータ分析で利用されています。学習を繰り返すことで理解を深め、大量のデータから一定の規則性や法則性を見つけ出し、その分析結果を多様な業務で役立てることができます。
たとえば社員の労働状況に関するデータを分析し、どの業務に定型的な要素が多いとわかれば、その業務をITツールで自動化して、非効率を改善することが可能です。これは単なる業務効率化だけでなく、定型業務のあぶり出しと自動化で確保した時間を、より生産的な業務に振り分けることもできるようになります。
高いパフォーマンスを実現している部門の傾向をAI分析で把握し、他の部門に横展開するという活用方法も考えられます。また、特定の時間に特定の事業部門の作業効率が決まって下がる、あるいは一定の室内温度で作業効率が大幅に上がるといった事実が分析結果から判明したなら、それに応じた環境整備などの対策を実施することも可能になるでしょう。生産性の向上という観点で、ビッグデータのAIによる分析は大きな効果を発揮します。

AIの多様な活用事例

ところで、AIを活用したHRテクノロジーで実現できるのは、単なる生産性の向上にとどまりません。もちろん生産性向上のためにAIを使うことは有意義なのですが、AIにはさらに幅広く深い可能性が秘められています。
AI技術自体はまだ発展途上ですが、多彩な活用の事例もすでに見られています。そのうち人事部門の業務に関する事例をいくつか紹介していきましょう。
今後の人事部門にとって、従来以上に大きなテーマとなってくるのが人材マネジメントでしょう。AIによる分析は、将来予測の部分で大いに役立つと考えられています。実際に、仕事や行動の分析から離職の可能性が高いという結果が出た社員について上司にアラートを送り、対応を厚くするなど、離職を未然に防止する先進的な取り組みを展開している企業があります。
また、メンタルヘルス対策にHRテクノロジーを導入し、社員のストレス状況をAIで分析、メンタルの問題による休職・離職の防止に役立てている企業もあります。2015年から従業員50人以上の事業場に社員のストレスチェックが義務化されていますが、それにAIを活用しているわけです。AIによってメンタルを分析することで、該当する社員の問題を事前に把握できるのに加えて、貴重な労働力の確保や、社員の働きやすい環境を整備するという施策面でも効果を発揮します。もちろんメンタルの問題によって社員の離脱が生じると、そのポジションを充当する人材のコストも必要ですので、経費節減の点でも企業業績に寄与するでしょう。
AIはその効果が未知数なので、とりわけ人間のメンタルに関してAIがどれほど正確な分析を行えるかという点では議論もあります。しかし先駆的に取り入れる企業が増えることで、データが蓄積され、分析の精度も上がって、活用の幅がさらに広がることが期待できます。

AIとHRテクノロジーの将来性

上で離職防止やメンタルヘルス対策での実例を紹介しましたが、人材配置や採用も人事部門にとって頭を悩ませるテーマです。
AIを使ったHRテクノロジーは、最適な人材配置への活用という部分でも導入がスタートしています。人材のプロフィールやそれまでの経験、獲得している能力、行動特性や適性などの分析からその社員に適した業務をAIにレコメンドさせるような取り組みが試行されています。近い将来、AIがさらに複雑な判断を行えるようになると、現在のようにデータとその分析をもとにして人間が判断するためのサポートだけでなく、最適な人材配置までをAIが的確に判断する時代がやってくるかもしれません。
さらには、人材採用活動における可能性も期待されています。採用は負担が大きい業務ですが、苦労して採用をしても、自社のニーズに完全にマッチした人物であるとは限りません。そこで、会社の社風や業務にマッチングする理想の人材像をAIに描き出してもらい、それに合った人材を採用したり、採用以前のデータから入社後のパフォーマンスをAIで予測して入社直後の人材配置を行ったりといったことも、ゆくゆくは現実のものとなるでしょう。

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