人事戦略
上司・部下の関係を円滑にする新しいコミュニケーションのあり方
企業を取り巻く環境が多様化する中、人事戦略において上司と部下との関係がこれまで以上に重要になっています。かつての企業では、基本的に上司と部下は常に同じオフィスで働き、終業後もいわゆる“飲みニケーション”などの付き合いが豊富にありました。しかし現在は社員それぞれの個性と働き方を重視すべき時代であり、上司と部下の関係にもおのずと変化が見られます。ここでは、現代の企業で上司と部下の関係を築くための新たなコミュニケーションスタイルについて考えていきます。
ダイバーシティ時代のコミュニケーションの重要性
オフィス環境や社員の働き方が多様化し、上司と部下の関係も変わらざるを得なくなっています。
“変化”が必要な理由は何でしょうか。いくつも考えられますが、まずは2010年代中盤以降、注目が急速に高まっている「ダイバーシティ」が挙げられます。
ダイバーシティとは、性別や年齢、国籍、宗教、障害の有無、出産・育児・介護といったライフスタイルに関わりなく、多様な人材を企業活動に活かそうという発想です。近年の働き方改革もあって、注目度はいっそう高まっています。
ダイバーシティの推進は企業にとって必須の課題です。多様な人材が多様な働き方を実現することで、個々の社員の働くモチベーションが上がるとともに、おのおのが得意とする分野に関わるようになれば従来以上にパフォーマンスを発揮、ひいては企業全体の業績も大きく向上するといわれます。
その一方で、ダイバーシティが進展すると、上司と部下との付き合い方が大きく変わってくることも容易に想像できます。上司の中にはすべての部下に対して自分の意見をゴリ押ししたり、あるいは多様性を考えず均一に接しようとしたりする人もいましたが、今後はそれもできません。部下との関係を改めて整理し、相手の個性に応じてコミュニケーションの方法も変えていく必要があります。別の見方をすれば、ダイバーシティ時代を迎えて、上司・部下間のコミュニケーションの重要性はこれまで以上に増してきたといえます。
働き方の変化がもたらした「直接話す」という機会の減少
ダイバーシティに代表されるように、近年、企業における働き方は大きく変わり始めています。オフィス以外の自宅や外出先、サテライトオフィス、コワーキングスペースなどで仕事をするテレワーク/リモートワークは今後ますます増えるでしょう。
採用スタイルも、従来のメンバーシップ型雇用一辺倒の状況から、専門スキルや経験を重視したジョブ型雇用が増え始め、職務や勤務地をあらかじめ限定した働き方が当たり前のものとなる可能性があります。このほか、変化が速い時代の将来対策としてキャリアの複線化が注目されていますし、今後は副業もより一般化していくことは間違いありません。
勤務する場所や出社時間を自分の裁量で決められる時代になってきたため、朝、上司がオフィスに出社しても部下はオフィスにやってこない(あるいは反対に、部下が出社しても上司がオフィスにこない)……といった光景が、今後徐々に当たり前のものとなっていくでしょう。直接顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションのタイミング自体をなかなか確保できないことも考えられます。
こうした時代の変化を受けて、上司と部下のコミュニケーションが次第に難しくなったり、近年は社内におけるコミュニケーション自体が希薄化しているという指摘もあります。ITツールの浸透で連絡の利便性が増した一方、面と向かって会話を交わす機会は減っている……そんなオフィスも増えているのではないでしょうか。
変化するコミュニケーションの価値観
それに加えて、コミュニケーションに対する価値観自体も大きく変化しています。仕事とプライベートをきっちり分けたいと考える人もいれば、仕事でもプライベートでもSNSでつながりたいと考える人もいるなど、コミュニケーションに対する考え方が多様化しているのです。
もちろん、世代が変われば当然ながらモノの見方に対するギャップがあります。上司の世代で「良い」ことが、若手社員の世代でも「良い」こととして通用するかどうかはわかりません。世代間ギャップを意識せず、思い込みだけで接すると、コミュニケーションが深まるどころか反対にディスコミュニケーションの溝を深めてしまうでしょう。そもそも、コミュニケーション自体を苦手と考える社員も少なくないと思われます。
しかし、だからこそ、現在および今後の企業において、上司と部下のコミュニケーションはこれまで以上に重要になっているといえるのです。企業は人々が集まって一つの目的を追求していく場ですから、上司と部下(もちろん同僚同士や上司同士も含め)のコミュニケーション不足やディスコミュニケーションがあれば、職場は同じ目的に向かって進むことができません。
親身に聞き、気楽に話せる場をつくる
上司の立場にある人には、部下とのコミュニケーションを充実させ、組織を円滑に動かしていく責任があります。そのため、部下はそれぞれ個性を持っていることを肝に銘じ、一人ひとりの言葉に対して親身に耳を傾ける上司がいま求められています。
言うまでもなく、自分の意見ばかりを重視して部下の言うことを頭ごなしに否定したり、部下の話を途中で遮ったり、部下から求めてきたコミュニケーション(業務上の報・連・相はもちろんのこと、プライベートでの相談なども含め)を無造作に断ったりする姿勢はやめるべきでしょう。
一方で、上司と部下が気楽に会話できる日常的なコミュニケーションの場を意識して設けることは効果的だといわれます。
たとえば近年は、上司と部下が一対一で定期的に話をする「1 on 1(ワンオンワン)」ミーティングが注目されています。終業後の“飲みニケーション”ではなく、業務時間内に一緒にお茶を飲みながら、部下の仕事について話を聞き、上司から適切なアドバイスを行う。一対一で気軽に話せる場を設けることで、個人同士のコミュニケーションが深まり、企業の業績にも良い効果があるといわれます。
もちろんリーダーにはさまざまなタイプがありますし、組織風土や業務内容によっても求められる上司と部下の関係は変わってきます。具体的なコミュニケーション手段も「こう接すればいい」というマニュアル的な正解があるわけではなく、相手の個性によって変えていく必要があります。上司と部下の関係を円滑に保つのがなかなか難しい時代といってもいいでしょう。
それだけに、会社の業績アップに向けて社員それぞれのパフォーマンスを最大限発揮するためにも、コミュニケーションの新たなスタイルを日々模索していくことが大切です。
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