日立ソリューションズ 人事の取組み Vol.4

~キャリア自律を促進する社内異動制度~

このコラムでは、人事労務に関わるテーマについて、日立ソリューションズの取組み事例をご紹介していきます。お客さまの人事施策、人事戦略のヒントにぜひご覧ください。

今回のテーマは「社内異動制度」についてです。
社会環境が変化し、また、労働者の価値観の多様化する中、組織・人事マネジメントの潮流は、部署や仕事内容を従業員が主体的に選び、自律的なキャリア形成を支援する方向に向かっています。その一手段である、社内異動制度の取り組みについて取り上げます。

自律的なキャリア形成を支援して働きがい向上へ

日立ソリューションズでは2014年から全社運動として働き方改革を推進してきました。テレワークの推進、サテライトオフィス設置などで柔軟な働き方ができる環境を整備し、業務のムダ取りやRPAなどを用いた自動化も進め、残業削減の取り組みも強化しました。2020年以降は感染症対策で全社員原則在宅勤務に移り、テレワークやフレックスタイムは定着しました。そうした施策もあり、「働きやすさ」は大きく前進し、次に力を入れるべきは「働きがい」と「成長実感」であると、2022年から働きがい(Employee Experience)向上に力を入れています。

働き方改革の流れ

従業員が成長し、多様な能力を発揮し、働きがいを高める施策の一つとして、個の自律・主体的なチャレンジを促す施策を強化しており、キャリアのタイミングに応じたさまざまな社内異動制度を用意しています。

働き方改革図

社内FA制度:従業員が自身の希望で経歴・自己PRを公開し、各部署がスカウトする。(応募者個人を特定できる情報は公開しない) または、応募開始時に公開中の経験者採用の求人情報に対して応募する。

社内公募制度:人財を必要とする部署が新規事業や事業拡大などの公募テーマを設定し、異動希望者を募る。

若年層ジョブマッチング制度:新卒入社3年目の従業員全員が、社内求人への応募、または、現在の部署の継続を自ら選択する。

プロフェッショナルエルダー制度:定年を迎えた従業員の「ジョブ型雇用」制度。本人が職務経歴などを公開し、各職場がスカウトする。または、定年後社員向けの求人情報に対して応募する。

今回は、社内FA/公募制度および、若年層ジョブマッチング制度について取り上げます。

社内FA/公募制度、成功のカギは?

社内FA制度や社内公募制度を利用した異動の成功事例が蓄積されてきたことにより、徐々に「快く送り出す」「受け入れられる」雰囲気が醸成されたことが、制度利用を後押しする要因の一つです。
また、社内FA制度では実施時期を年度1回から2回(期に1回)に増やし、担当業務の忙しさなどによる機会損失を減らし、制度を利用しやすくする改定も行っています。

本制度では、若年層ばかりではなく主任層も利用しています。主任層の好事例として、今まで培った技術が所属部署の事業の方向性の転換によりミスマッチを起こし、せっかくの高い技術力を生かせていなかったが、社内FA制度により、保有しているスキルを求められる別部署に異動し、継続して活躍することができたということもありました。

このように社内FA/公募制度を通して、従業員自身の保有スキルやキャリア希望に応じた仕事への挑戦機会を得られることで、生き生きと働きがいをもてる組織風土へとつなげています。

若年層を対象としたジョブマッチング施策もスタート

EX向上施策の一つとして、若年層が自らの職務を選択する「若年層ジョブマッチング制度」を2022年度からスタートしました。

制度導入の目的は、若年層の従業員のキャリア意識の醸成とその後の自律的成長を促すことです。ジョブ型人財マネジメントを実現する制度の一つでもあります。若年層、特に職務経歴の無い新卒入社であれば、入社前と初配属後では希望する仕事や思い描くキャリアパスが変わることがあり得ますし、実際に業務に従事することで、自身のキャリア希望が明確になっていくことも多々あります。 本制度では、新卒入社3年目の社員全員がキャリアについて考える機会を持つことになります。また上司とキャリアについて話す機会作りにもなっており、キャリアへの漠然とした不安の解消にもつなげています。 制度開始初年度から対象者の約2割が異動もしくは現部署の継続という、自分のキャリアを選択しました。制度利用者から 「本制度がなければ、将来を意識して考えることはなかった」「選考で自分のキャリア形成に関する考えが固まり、前向きに異動先を決めることができた」「選考を通じて経験不足を認識し、現部署で経験を積むべきと決断できた」との声が上がっており、キャリア意識醸成にプラスの効果が出ています。また、上長の約8割が「本制度により自身の人財マネジメント意識が変化した」と言っており、部下のキャリア形成の支援につながっています。

まとめ

日立ソリューションズではすべての人々に平等に雇用の機会を与え、生産的で働きがいのある雇用環境を提供します。また、多様な人財が働くことにより、働きがいと会社の成長を実現し、産業の発展に寄与することをめざしています。

社内の異動に関しては、エルダー層を対象にした制度やまた本制度の活性化のためにシステム活用も進んでいますので、これらについても今後取り上げていきたいと思います。

今回ご紹介した日立ソリューションズの取組みが、お客さまの今後の取組みの参考になれば幸いです。

日立ソリューションズでは、人事の取組みを製品に生かしています。
人事課題に対するお悩み、人事DXについてのご相談などお気軽にお問い合わせください。

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