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病気じゃないけど悩ましい、女性の健康課題を考える
女性の社会進出が進むにつれ、女性がいる職場での健康課題に対する関心も高まっています。しかし、実際に女性が抱える問題については、男性にはなかなか理解しづらいというのが現状です。今回は、女性社員の生の声を紹介しながら、男性もともに理解し、女性の健康課題に向き合うことの重要性について考えてみたいと思います。
執筆者
株式会社日立ソリューションズ 経営戦略統括本部
チーフエバンジェリスト兼人事総務本部 本部員
伊藤 直子(いとう なおこ)
【伊藤 直子氏プロフィール】
1990年津田塾大学卒業。日立中部ソフトウェア(現 日立ソリューションズ)に入社。ソフトウェア製品開発、ネットワーク・セキュリティSEを経て、2004年管理職へ。2015年から働き方改革のプロジェクトに入り、自社の改革推進とともに、企業の働き方改革をITで支援する事業に携わっている。
まず知ろう、女性特有の健康課題
近年、女性の就労率は増え、勤続年数は確実に延びています。企業の健康経営においても、女性の健康課題への意識が高まってきています。
女性特有の課題としては、月経、妊娠・出産、更年期などがあり、年齢やライフステージによって、さまざまな症状が発生します。また、これらの課題は、生産年齢である15歳から64歳の期間と症状が発生する期間がほぼ重なっています。つまり、働く女性が増えている現在においては、多くの女性があまり表に出さずに症状に耐えながら仕事をしている、という状況が増えていると言えます。
月経については、PMS(月経前症候群)や月経困難症があり、それにどう対応するかが課題です。主な症状としては腹痛、腰痛、倦怠感などの身体症状や、イライラする、涙が出る、不安になるなどの精神症状があります。妊娠・出産については、周りの人にいつ知らせるか、という問題があります。更年期については、体調不良や精神の不安定があり、本人は不安なのに周りの人に理解されにくい、という問題があります。
しかし、会社では話題にしにくいですよね。私も、女性同士でさえ話題にするのを避けてきたように思います。これまで、女性特有の健康課題に目を向けて来なかったことを、自戒を込めて、改めて発信したいと思います。
なんとなくタブー視していた、病気じゃないし言いにくいし聴きにくい、男性はよくわからない、女性も個人差があるのですべてに理解・共感できるわけでもない、といったところでしょうか。
まずは、周りにある現実を知り理解することから始めましょう。
実際どうしてるの?女性社員に聞いてみた
現実を知るために具体的なリアルな声を聴きたい、ということで、私の社内ネットワークを駆使して女性社員の声を集めてみました。20代から40代までの女性41人に聴いたところ、思った以上にたくさんの具体的な悩みが出てきました。
図1に示した内容はそのうちの一部です。月経では起きあがれないほどの痛みや貧血がある、妊娠・出産では上司や同僚への伝え方や体調管理に悩む、更年期では身体的・精神的な症状への不安があるなど、さまざまな悩みごとが出てきました。女性である私でも驚くほど、身近な社員がつらい状況にあったり不安な思いを抱えていたりしていることがわかりました。
図1 女性の健康課題に関する当社社員の声
また、周りの人にどうしてほしいか、という設問に対しては、「寝込んでしまうほどの痛みを伴うことがあることを知ってほしい」「相談しやすい雰囲気をつくってほしい」「不妊治療についてある程度の知識をもっていてほしい」など、まず知って理解してほしいという声が多くありました。決して秘密にしていたいわけではないんですよね。実際に、秘密にしたまま我慢して仕事をするには支障があるレベルの不調があるので、お互いに理解し合うことがだいじだということを痛感しました。
センシティブだがタブーではない
女性社員の生の声、どう受け取りましたか?
こんなにつらい状態に耐えながら言い出せないまま仕事をしていることを知ったいま、もはや、センシティブなことだから気づかないふりして放っておこう、それが優しい気遣いだ、というわけにはいかないですよね。
女性の健康課題は、センシティブではありますが、決してタブーなわけではありません。女性たちも理解してほしいと思っているんです。
ならば、一般的な知識を習得すること、実際にどういう状態にあるのか知って理解しようとすること、そして、必要に応じて業務調整や勤怠への配慮をすることに一歩踏み出しましょう。
一歩目となる知識習得のご参考として、厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」をご紹介します。女性特有の健康課題について、整理されています。ぜひ、ご参照ください。
- ※参考
厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」
男性が支援することに意味がある
働く女性が増えてきている現代において、企業は女性の健康課題に目を背けているわけにはいきません。企業で働く従業員にはまだまだ男性が多数を占めていますので、男性が理解を深め支援していくことに大きな意味があると考えます。
女性の健康課題にしっかり目を向け対応していくことで、女性の活躍が推進されます。そして、それは、女性に限らず男性にとっても働きやすく活躍できる環境に近づいていくことにつながると思います。誰もが個々の事情に合わせて働きやすく活躍できる、お互いが理解・支援し合いながら仕事を進めていける、そんなインクルーシブな企業文化をつくっていきましょう。
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