長時間残業削減

長時間残業削減に取り組むときに気をつける3つのポイント

「ノー残業デー」の導入によって長時間労働の解消を目指す企業はたくさんあります。従業員としては「残業時間が減ってうれしい」と言う前向きな意見と、「ほかの日にしわ寄せが行くだけ」と言う後ろ向きの意見が出るようです。特に後者の意見は、ノー残業デーの導入が成功していない企業に多く見られ、実際にその制度自体が既に「形骸化」している例も多くあります。このことからも、ノー残業デーが必ずしも成功するとは限りません。そこで今回は、「ノー残業デー」の導入が成功した会社と、残念ながら形骸化してしまった会社の特徴を比較し、長時間労働削減を取り組む際に気をつけるべきポイントを検証してみたいと思います。

トップの意識欠如

1.有言不実行

長時間残業を減らすためには、既に述べたようにトップの号令とその実践が必要です。「長時間残業を削減する」と張り切ってスタートしても、それが従業員全員になじむのには時間がかかります。つまり、効果が見えるまでに時間がかかるのです。そのため、トップマネジメント層が途中で諦めてしまうこともあります。実際、トップマネジメント層は忙しい場合が多く、ノー残業デーをできない言い訳はいくらでもあげることができます。このようにして、スタート時は何とか従業員の変化を求めて実践したが、それがなじむまで行動を継続できずに失敗に終わってしまうというケースはよくあります。

2.強制しない仕組み

トップの号令によって長時間労働が禁止になっても、それを強制させる仕組みがなければ目的の達成はできません。長時間労働が当たり前になっている組織では、過労働をすることが当たり前になっているので、残業をせずに帰るというのは従業員にとって違和感のある行動となります。長期間この行動を繰り返していけば、残業をせずに帰ることが常態化していきます。しかし、その前まではこれまで通り長時間残業が当たり前になっているのです。つまり、マネジメント層が「残業せずに帰宅するように」と号令をかけるだけでは従業員への強制力は低いといわざるを得ません。強制力が低ければ、これまで通りの行動を続けてしまうのが人間です。長時間労働を根づかせるためには、それをさせない強制的な仕組み(例えば、時間になったら消灯する、施錠する、残業申請を基本的に認めない)が必ず必要になります。

仕組みの形骸化

1.見せかけだけの残業低下

長時間労働禁止の目的は、従業員に十分リフレッシュしてもらうと共に、残業に取られていた時間を活用することで仕事以外の生活を充実させることです。しかしながら、多くの場合に見られるのは、従業員を帰宅させることに成功しても、場所が変わるだけで帰宅後も家で仕事をしているという実態があることです。これでは長時間労働削減の意味がありません。さらに、今まで「残業」とみなされていた時間が、場所を変えたことにより「サービス残業化」されただけで終わってしまい、結果として従業員の士気が下がるという悪循環に陥る場合もあります。また、ノー残業デーでできなかった仕事を補うために週末に負荷がかかり、自主的に休日出勤してくる従業員が増えてしまうこともあります。このような状態を防ぐためには、会社のセキュリティーを強化して、仕事を持ち帰れないようにすることに加えて、「時間」で仕事をするのではなく、「仕事のやり方」を変えさせることでより効率的に短時間で仕事ができるように従業員を教育する必要があります。

2.部署間で「帰る」「帰らない」の差が大きい

トップの号令と共に長時間労働の削減が始まっても、それが反映されるかどうかはその組織のマネジメント層の意識に強く反映されます。長時間労働を「自社の強み」と考えているような組織では、いくらトップが号令をかけても状態は変わりません。一方、長時間労働は「悪」と考えているマネジメント層の組織では長時間労働の削減がスムーズに移行される可能性が高いです。このように部署によって「帰る」「帰らない」という乖離が起き、結果として従業員内で不満が起き、長時間労働削減の効果が発揮されない場合があります。このようなことが起こらないように、マネジメント層の教育や長時間労働を行った組織のマネジメント層にペナルティを課すなど、全従業員が一体となって取り組めるように考えることが大切です。

例外規定

1.例外規定の常態化

今日は忙しいから、お客様の納期が迫っているから、といった理由で長時間残業を許可してはいけません。こういった理由は残業をする最もな理由に聞こえますが、あらかじめスケジュール管理をしっかりと行っていれば例外規定が常態化することはありません。大切なことはこのような例外規定が起こらないように、マネジメント層が常日頃から従業員の仕事の進捗管理をすることが大切です。

2.マネジメント不足

上記で述べたようにマネジメント層の関与がない場合には、従業員は自分のペースで仕事を進めます。そして各従業員は自分なりに頑張っているつもりで仕事をしてしまいます。しかしながら、突発の仕事が入ってお客様の対応に追われると、長時間残業でその穴を埋めようとします。基本的に従業員自身にマネジメントを任せるだけでなく、従業員と上司が一体となって残業をしないような仕事の進め方を模索する必要があります。
そのためにも、しっかりと勤怠管理のシステムを活用して従業員の残業時間を把握できるようにしましょう。月次や週次での残業時間推移を確認することで今の状況が異常値なのかどうなのかも掴むことができます。感覚値ではなく、システムを利用した実績値で把握していくことが大切です。

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