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人事労務管理コラム ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)

女性活躍推進の参考になる企業事例・取り組みのポイントを紹介

女性活躍推進の参考になる企業事例・取り組みのポイントを紹介

人事総合ソリューション リシテア」より女性活躍推進に関するお役立ち情報のご紹介です。
2019年5月に成立、2020年6月より順次施行されている「改正女性活躍推進法」。2022年4月から全面施行となり、企業による女性活躍推進の取り組みはますます広がりを見せています。

しかし、男性中心の企業風土が根付いていることや、女性管理職のロールモデルが少ないことなどから、思うように取り組みの成果が得られないという企業も少なくありません。

この記事では、女性活躍推進で成果を出している企業事例と、成功事例から学ぶ女性活躍推進の取り組みポイントをご紹介します。

女性活躍推進における課題とは

女性活躍推進とは、働く意欲のある女性が能力を十分に発揮できる社会を目指し、女性管理職比率の増加や長期的なキャリア形成を可能にする取り組みのことです。2022年4月より改正女性活躍推進法が全面施行となり、女性活躍に関する行動計画の策定や情報公表が義務づけられる対象企業が拡大しました。

しかし、女性をサポートするための施策を導入しても、なかなか成果につながらない現状に悩む企業は少なくありません。

その背景には、管理職の業務負担が大きいために女性従業員が昇進の意欲を持てない、社内にロールモデルがいないために将来のキャリア像をイメージしにくいなどのさまざまな課題があります。

また、男性中心の企業風土から抜け出す意識改革の難しさを感じたり、女性を対象とした支援の充実が男性従業員に不公平感を与え、男女間で格差が広がることに悩む企業も多いでしょう。

男性中心の働き方をベースとした価値観を変えられないまま施策を立案しても、実際の女性の状況や要望との間にミスマッチが生まれ、十分な効果を発揮することはできません。女性活躍推進を成功させるためには、自社の女性従業員が直面している現状に即した施策が必要となります。

まずは上司や経営層が女性従業員の現状を理解すること、そのうえで必要な施策や支援、従業員の意識改革に取り組んでいくことが大切です。

健康経営の取り組みにより、従業員の生産性・創造性の向上のほか、健康寿命の延伸・医療費の抑制効果が期待できます。

女性活躍推進に成功している企業の事例

女性活躍推進に成功している企業の事例

女性活躍推進の課題を解消し、成果を得ている企業ではどのような取り組みをおこなっているのでしょうか。参考となる企業事例をご紹介します。

階層別研修とロールモデルの充実:三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社

三井住友トラスト・ビジネスサービスは従業員の9割が女性でありながら、管理職のほとんどを男性やグループ会社からの出向者が占めていたことから、業務に精通したプロパー従業員の中から女性管理職を育成する取り組みを始めました。

階層別研修では組織における役割を学び、キャリアの成功や業務の悩みについて先輩から具体的なアドバイスを得られる機会を設けています。また、キャリア支援の基礎となる両立支援では、19パターンの柔軟な短時間勤務制度をつくり、育児休業からの復職者を対象とした復職予定者研修も実施しました。

この復職予定者研修では、実際に短時間勤務を経験した従業員との情報交換会が人気となっており、ロールモデルとの交流によって業務の工夫やプライベートとの両立がイメージしやすくなることで、復職に対する不安の軽減につながっています。

こうした取り組みの結果、2021年9月末時点で課長職以上の女性管理職の割合は62%となり、プロパーの女性管理職育成に成功しました。また、係長職以上の22名は短時間勤務制度を利用しており、若手社員が多様な働き方のモデルケースに自然と触れられる職場になっています。

出典:「女性の活躍・両立支援総合サイト」(厚生労働省)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/practice/detail?id=144)

「女性の活躍推進や両立支援に積極的に取り組む企業の事例」(厚生労働省)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/practice/detail?id=144)をもとに日立ソリューションズ作成

企業が女性活躍推進に取り組む際のポイント

企業が女性活躍推進に取り組む際のポイント

女性活躍推進に成功している企業事例を見てみると、単に働き方の選択肢を増やしたり女性従業員を対象とした研修を実施したりするだけではなく、女性の現状を理解したうえで柔軟かつ多角的な施策をおこなっていることが分かります。

自社での取り組みを女性活躍推進の成功につなげるには、成果を得ている企業事例を参考に、次のようなポイントに注意して進めるとよいでしょう。

女性の現状と施策のミスマッチを解消する

女性活躍推進に効果的な施策をおこなうには、はじめに女性従業員の声に耳を傾け、キャリア形成の妨げになっている要因や女性が必要としている支援について把握する必要があります。施策を練る経営層や管理職、人事の認識に、女性の現状とのミスマッチがあると、施策が効果を発揮せず、行き過ぎた配慮や過度なプレッシャーによりかえって女性従業員に負担を感じさせてしまいます。

女性が率直な意見を言いやすいヒアリングの場を設けたり、育児や介護との両立について経営層や管理職、人事が理解できるような研修をおこなったりして、女性が本当に求めているものを理解することが大切です。

階層ごとの研修を充実させる

女性が活躍する会社として、企業事例で取りあげたりそなホールディングスや三井住友トラスト・ビジネスサービスに共通するのが、従業員の階層によって異なる研修をおこなう「階層別研修」の実施です。女性管理職の育成を目的とした研修を、新入社員や若手社員、中堅社員など、それぞれの階層別に合わせておこなうことでスキルや意欲の向上につながります。

また、男性管理職に多くみられるアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)にとらわれない業務の与え方、女性リーダーやその候補者にはリーダーとしての活躍に必要な思考の習得など、階層別研修を通じて個々に必要とされる細かい支援が提供できることもポイントです。

将来をイメージできるロールモデルをつくる

女性従業員が管理職として働く自分の姿を想像し、キャリア形成への意欲を高めるためには、手本となるロールモデルの存在が不可欠です。

しかし、女性管理職がいない企業ではそもそもロールモデルになれる従業員がおらず、将来のキャリアについて具体的なイメージを持つことはできません。また、会社やメディアが取りあげたロールモデルに現実味がない場合、かえって女性従業員の意欲を下げてしまうことも考えられます。

企業としては、ロールモデルとなり得る女性従業員の育成を進めると同時に、社外から人材を採用する、社外交流会や講演会を開催するなど、社内外を問わずロールモデルから学べる機会をつくる必要があるでしょう。

女性特有の健康課題に対する支援をおこなう

これまでの企業の健康支援といえば、生活習慣病予防としてのメタボリックシンドローム対策など、男性に重きを置いた対策が中心でした。しかし、女性の社会進出が進み、その活躍が大いに期待される今、企業にとって女性従業員の健康支援は重視すべき課題となりつつあります。

女性従業員の健康課題が顕在化すると、心身の不調による急な欠勤や長期欠勤が発生しやすく、企業全体の生産性低下につながるため、女性の健康支援を推進することは今後の企業経営においても重要となります。また、健康課題の有無にかかわらず、妊娠・出産など女性特有のライフイベントを経てからも復職し、自社で活躍し続けてもらうためにも健康支援が必要です。充実した支援をおこなうことは、女性の離職を防ぐだけでなく、モチベーション高く仕事に従事してもらえるメリットもあります。

意識改革の機会を設ける

女性活躍推進やダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けて多くの企業が継続して取り組んでいるのが、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関する啓発です。性別や環境にかかわらず、無意識の偏見は誰もが持つものですが、その先入観や思い込みは知らぬうちに選択肢を狭めてしまいます。

アンコンシャスバイアスを完全になくすことは難しいものの、自社に根付く男性中心の価値観や企業風土から抜け出すには従業員の意識改革をおこなう必要があります。全従業員を対象としたアンコンシャスバイアス研修の実施などで、自身が持つ偏見や先入観に対する気づき、ものの見方について考える機会などを定期的に設けることが大切です。

女性活躍推進には企業の柔軟な取り組みが必要

女性活躍推進で成果を得ている企業の多くは、女性の健康支援やキャリア形成に取り組んでいるほか、女性管理職の比率向上や離職の防止に成功しています。女性管理職として活躍するロールモデルを増やすためにも、従業員の意識改革や勤務制度改革に早期に着手し、現場の声を聞きながら改善を繰り返していくことが必要となるでしょう。

日立ソリューションズでは、企業の女性活躍推進を健康面から支援するサービスを提供しています。女性活躍推進に向けた取り組みをお考えの場合は、お気軽に当社までお問い合わせください。

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