個人に番号を割り当てるマイナンバー制度は、2016年1月からすべての企業が社会保障や税の手続きなど分野で対応をしなければなりません。マイナンバーは源泉徴収や社会保険など各種申告に必要になりますので、対応に漏れや抜けがないように行うには、期間の猶予はあまりありません。
マイナンバー制度に対応するために確認しておきたい4つの質問
マイナンバー制度に関する以下の質問に問題なく答えられて、その準備は問題ないでしょうか?
マイナンバー制度に対応していく上で押さえておきたいポイントを、質問例にしてあげてみます。
1.従業員だけでなく、扶養家族のマイナンバーも取得も必要か?
従業員だけでなくその扶養家族、および社会保険に加入していないパートやアルバイト、また社外の個人事業主に業務委託する場合にもマイナンバーを取得しなければなりません。
パートやアルバイトで1回限りなどの雇用の場合、マイナンバーの取得を忘れると、後からでは大きな手間と時間がかかる可能性があります。取得をしなければならない対象者を明確にして抜けや漏れがないように業務フローを作成して全部門に徹底しておかなくてはなりません。
2.対面以外でマイナンバーを取得するときの本人の確認方法は?
個人のマイナンバーを取得するときには、なりすまし防止のための本人であることと、取得したマイナンバーが正しいことを確実に確認しなければなりません。
対面で本人を確認することは容易ですが、電話や郵送、メールおよび代理人から取得する場合や従業員の扶養家族や退職者から取得する場合など、特殊な場合の本人の確認方法などについても、明確に分るように確認の手順を周知徹底しておく必要があります。また、今後、従業員には毎年末にマイナンバーを記載した「扶養控除等申告書」などを提出してもらうことになりますが、原則その際にも本人の確認が必要になります。その場合は従業員が配偶者の代理人としてマイナンバーを提供することになるでしょうが、本人を確認する手順と合わせて、本人の確認が必要になるケースについて全社への周知徹底が必要です。
3.取得したマイナンバーを子会社や健康保険組合に提供するときの制限は?
従業員が子会社や関連会社に出向や転籍したときに、あるいは合併で新会社になったとき、取得済みのマイナンバーを子会社や新会社、あるいは健康保険組合へ無条件に通知できるのでしょうか?
合併などによる事業の承継の際は、承継先にマイナンバーを含む特定個人情報を提供することができます。健康保険組合への事業者からのマイナンバーの通知は、原則認められていますが、事業者がマイナンバーを取得するにあたって、健康保険に関する個人番号関係事務において利用することを明示する必要があります。
子会社、関連会社のへの無条件な通知は、原則認められていません。一部の部門の業務ではありますが、注意が必要です。
4.違反した場合の罰則
違反した場合、例えば、個人の秘密が記録されたマイナンバーなどの情報を第三者に提供すると「4年以下の懲役 または200万円以下の罰金」が科せられます。違反した当事者のみならず、事業主も責任を問われることもあります。
そのため、マイナンバーを取り扱う担当者への注意の啓発とファイルにアクセスできる担当者の制限やシステムとして、ファイルへの不正なアクセスの防止手段を講じること、および不正なログインの早期発見や不正を行った者の特定を素早く行えるようにしておくシステムの構築と情報セキュリティポリシーを作成し、全社員に周知徹底する必要があります。
人事・労務、システム部門だけでないマイナンバー制度への対応
上述しましたようにマイナンバー制度に対応にするには、社内の特定部門に任せておけば良いというものでもなく、コンピュータ上でマイナンバーを扱えるようになれば、それで済むものでもありません。
マイナンバー制度は、企業にとっても社会保障や税の事務処理の合理化による大きな費用削減効果が見込まれています。マイナンバー制度への対応は法律で義務付けられておりますが、早めに対応をすることで、その費用削減効果を最大限にできるでしょう。また情報漏えい防止策を練ることで、個人情報の社外への漏えい防止による企業の社会信用の失墜防止が図れます。