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人事労務管理コラム

ホワイトカラー・エグゼンプション

ホワイトカラー・エグゼンプションにおける働き方とは!?

ホワイトカラー・エグゼンプションが、早ければ2016年4月にも導入されます。まずは、年収1075万円という年収や対象業務に制限が付き対象者は極めて少数です。しかし、経団連が最初にこの素案を提出した2005年では、対象者は年収400万円以上の者、とされていました。このことからも、この法律が成立すれば対象者が拡大していくことになる可能性が予測されます。

また、60歳定年が延長されて65歳以上、75歳まで働く時代が始まっています。このような時代に、企業は社員教育を、社員は働き方を変革していかないと共に不幸なことになりかねません。そのような時代に、一つのヒントになる「40歳定年説」をご紹介しながら、企業とそこで働く社員は何を変革していかねばならないか考えてみます。

ホワイトカラー・エグゼンプションにおける働き方とは!?

40歳定年が当たり前になる?

東京大学大学院の柳川範之経済学部教授が、75歳まで働けるようになるために主張している衝撃的とも言える「40歳定年説」をご紹介します。

年金支給年齢の引き上げや平均寿命の延び・医療の発達で60歳を過ぎても働ける人、働かねばならない人が増加しています。しかし、その受け皿となる企業には、いわゆる社内失業と言われる余剰人員を抱える余裕や、時代の変化に対応するためのスキルのない高齢者を雇用する職場もこれらの社員を教育する能力もなくなっています。

40歳定年とは75歳まで働くための手段

そこで、柳川教授は75歳までも働けるように時代の変化に応じた知識やスキルを30代から40代に身につけるべきであると主張します。今までは、企業内研修で対応する時間的、資金的な余裕もありました。しかし、今の時代は技術の著しい進歩やM&Aなどで成長分野を取り込んだ場合など、新しい技術、異分野の事業についての研修を社内で短期間に行うことは難しく、また研修予算そのものも縮小されています。

その結果、技術の進歩や新たな知識・スキルを手に入れられない者は社内失業状態に陥ってしまうことも考えられます。しかし、すでに企業がそれらの余剰社員を抱え込む余力はなくなりつつあります。このような時代を迎えて、ホワイトカラー・エグゼンプション法案が提出されます。「成果に応じて賃金が支払われるホワイトカラー・エグゼンプション」という言い方は、適切さを欠く表現ではありますが、厳しく言えば「成果を上げられなければ賃金は支払われない」ことを意味します。

つまり、新しい知識やスキルを身に付けていかねば、企業に雇用する余裕がない以上、最初にリストラされる可能性が高くなります。そこで、柳川教授は思い切って40歳で自分磨きができるようにと「40歳定年説」を主張しています。また、それに合わせて人事制度を見直すことも提言しています。

社内の評価制度に客観性を

「労働時間でなく成果に応じて報酬を」というホワイトカラー・エグゼンプションには、「成果をどうやって納得のいくものにするのか」という問題もついてきます。今までは労働時間が一つの報酬の目安となっていたために、それはそれで「やればやった分だけ報酬を得られる」というモチベーションに繋がっていたとも考えられます。成果に応じた報酬となると、それは成果の評価をする側にも「納得のいく評価」が求められるため、評価制度を整備していく必要性が生まれます。

正しく評価をするためには、社員一人ひとりの能力の把握や、目標の設定だけでなく、人間性も鑑みる必要があります。今でも成果報酬制度は存在するが、多くの企業でうまく機能していないのは、成果評価の納得性が低い、という点が挙げられます。

すなわち、ホワイトカラー・エグゼンプション制度を社内で成功させるためには、社員の能力や人間性を正確に把握する「タレントマネジメント」の考え方も取り入れていく必要が出てくる、ということです。

社内教育を見直し、社内失業を防ぐ

ホワイトカラー・エグゼンプションを考えていく上で、40歳定年説の踏まえた人事制度の見直しや、社内の評価制度について触れてきました。

ですが、企業にとっては、新たな人財の教育制度や、社内でスキルをどのように積ませるか、という点も考えなければなりません。

優秀な人財の獲得の難しさは増し、その報酬も高騰していく中で企業が成長を続けていくためには、優れた後輩を育てるための教育制度や、スキルの無いまま年齢を重ねて社内失業状態に陥る社員をなくすことを検討していくことが重要です。

ドラッカーは、ホワイトカラーの生産性向上は業種・職種にかかわらず簡単なことであると言っています。そのなかの一つの方法をご紹介します。

それは、「仕事の目的を明らかにし、何のための仕事かを明確にすれば目的を達成する方法はいくらでもある。そして行う必要のない仕事をやめることである」と言っています。

「トヨタのカンバン方式」が生まれたのは、生みの親であるトヨタの元副社長大野耐一氏の「今の生産方式が最悪と思え」と発想は同じです。トヨタの生産方式は、製造現場で創り上げられましたが、ホワイトカラーの働く現場、仕事でも突き詰めれば、世界最高の生産性を上げられるところまで高められるということを示しているのではいでしょうか。企業にとっては組織を、社員にとっては自分を高めるために必要なシンプルな発想です。

ホワイトカラー・エグゼンプションは「残業ゼロ制度」などと呼ばれたり、評価を受ける社員側の面ばかりに焦点があてられますが、企業側からすると、企業の成長戦略に合わせた教育制度の見直しを行い、「社員と共に成長していく会社」を目指すきっかけにもなると言えるのではないでしょうか。

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