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セミナーレポート

「ヒューマンキャピタル研究会2012」
~HRイノベーターへの変革~ 第5回

テーマ グローバル人事制度について考える
「いかにグローバルで人財を活用するか」
日付 2013/02/27
参加者 人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 4社
主催 株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
テーマ
グローバル人事制度について考える
「いかにグローバルで人財を活用するか」
日付
2013/02/27
参加者
人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 4社
主催
株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸

2008年7月より開催している日立ソリューションズ主催の「ヒューマンキャピタル研究会」、2012年度は、「HRイノベーターへの変革」をキーワードに全5回に渡り開催しております。
2013年2月27日に開催した第5回の研究会では、グローバル人財について議論しました。その模様を本レポートにてお伝えいたします。

グローバル人財の強化・活用の意味するもの

グローバル人財については本研究会でも何度か議論してきた。日本企業がグローバル人財を重要なテーマとしている背景は、 一般的には下記のような図式と考えられる。【図1】

グローバル人財の強化・活用は、具体的には主に下記の3つに分けられる。

  • 日本人の国際化
    海外売上高の拡大をめざし、海外との仕事が多くなることに伴い、海外で活躍できる日本人を育成する。
  • 人財の多国籍化
    ビジネスのグローバル化に伴い、国籍にこだわらない人材の採用・登用をめざす。
  • 現地法人外国人の戦力化
    マネジメント層の日本人比率が高い海外現地法人の経営を強化するために、現地法人で採用した外国人をマネジメント層に育成する。

これらのうち何を重点とするかは、各企業の歴史的背景やめざすビジネスによって異なる。本研究会の参加企業の中にも、日本人の国際化をめざす企業、現地法人外国人の戦力化をめざす企業などがあった。
海外売上高比率が低く、今後数年で大きく伸ばしていこうとする企業は、日本人の国際化や多国籍化によって海外市場の獲得をめざす戦略となる。逆に日本から進出した海外現地法人を多く持ち、グループ全体での外国人比率の高い企業は、現在日本人で固められている現地法人のマネジメント層を、現地で採用した外国人中心に変えていこうとしている。コスト競争力を維持しながら、より地域に密着したマネジメントを実践していくためだ。そのためには、理念やビジョンの浸透が重要になる。

グローバルな人事制度

日本人の国際化、人財の多国籍化をめざすということは、人財のグローバル標準化をめざすこととも言える。研究会に参加したある企業では、人事制度をグローバルで統一しようとしていた。主な内容は以下の通りだ。

  • 職務グレードをグローバルで共通化
  • グローバルの各ポジションの後継候補管理
  • グローバル共通の評価項目に、企業としてのバリューの実践度を設定
  • グローバル共通の評価項目で人財プロファイルを管理できる人財データベースを構築

グローバルで人財を配置していこうとする場合、職務グレードの概念をグローバルで共通化しておかなければならない。また、さまざまなポジションについての後継候補を明確にしておくことで、必要なときに必要な経営人財を配置することができる。
さらに、グローバルで同じ経営品質を提供するためには、企業としてのバリューが何かを定義し、それが実践できているかどうかが重要な評価項目になる。
これらを機能させるためには、人財データを一元管理できる人財データベースが必要になる。

グローバル人財強化は経営基盤の整備か、目的志向の人財戦略か

このようなグローバル人財の強化・活用は、ビジネスのグローバル化に伴う経営基盤の整備と言える。一方で、グローバルビジネスの拡大をめざす各社は、中期目標の中で海外売上高比率の飛躍的な増大など、ドラスティックな目標を掲げている。経営目標実現のためには、どの地域に対してどの商品・サービスを重点的に拡販していくのか、グローバルの具体的な事業戦略が必要になってくる。
アジアを中心とした新興国で売上を伸ばすのか、南米などの新興国をターゲットにするのか。既存の事業領域を展開するのか、海外進出に向けて技術領域をフォーカスするのか、新規事業領域を開発するのか。それらの事業戦略によって求める人財像は変わってくるはずだ。

たとえば新興国市場といっても今後は南米が中心になるので、英語に強い人財よりも、ポルトガル語、スペイン語に強い人財にフォーカスする。また、海外市場が伸びていくのはある特定の技術分野なので、グローバルという切り口よりも、特定分野の技術を持っている人財の調達の方が事業戦略上有効である、といったこともあるかもしれない。グローバル人財強化は目的志向でフォーカスされたものであっても良いはずだ。
それでは、グローバルの事業戦略が明確になっており、それにもとづいた人財オーダーが出ているのか。研究会参加企業に問いかけたところ、インドに工場を建設するので、日本語のできるインド人が必要になるといった、個別案件的なオーダーは出てくるものの、事業戦略として包括的なオーダーはあまり出てこないということであった。
極端に言えば、現在15%の海外比率を5年後には30%に高めるという目標はあるものの、それをどうやって達成するのか、具体的な事業戦略が描けていない、ということが多いようだ。したがって、人事としても経営基盤の強化的な位置づけでグローバル人財を定義し、強化・活用に取り組まざるを得ない。

果たしてグローバル人財が必要なのか

基盤の強化という目的は、社会全体のグローバル化によって達成される側面がある。日本の社会全体がグローバル化の方向に向かっているのは間違いなく、日本人の国際化というテーマは、企業の人財教育というよりもむしろ社会全体、学校教育の役割と言える。
日本社会全体にグローバルな感覚・技量をもつ人財が増えていくことで、企業で働く日本人も必然的に国際化する。企業がグローバル人財を強く意識することで、日本社会全体のグローバル化が加速する面があり、日本のグローバル企業は、ある意味社会的コストを支払ってでも、社会全体のグローバル化に貢献する使命があるとも言える。
一方で、ビジネスのグローバル化の緊急性が高い企業は、日本人の国際化を待たずに人財の多国籍化に注力している。
企業の戦略としてグローバル人財の強化・活用がどこまで緊急性が高いのか、しっかりと見極める必要がある。

たとえば、研究会に参加するある住宅販売会社の人事/労務リーダーは、将来的なビジネス展開を考えたときにグローバル人財の強化が重要になると強い問題意識を持っていた。
住宅業界では国内の市場成熟がはっきりしており、選択肢として海外市場の拡大が必要と言われている。一方で国による住宅事情や価値観の違いから、日本的戸建の拡販が難しい部分もある。海外売上高拡大に積極的な住宅メーカーも、デベロッパー業としての進出や、M&A、事業提携などを足掛かりにしているケースが多い。 まだ海外を対象にした仕事がほとんどない状態で、社会全体のグローバル化に先行してグローバル人財を育成する必然性がそれほど高いのか。人事部門が人財のグローバル化の強いメッセージを発信することが、現場にとってプラスなのか。という本音の議論も交わされた。
ビジネスの多様な将来像を示し、人財に対してさまざまなキャリアの自己啓発を促す意味では、グローバルを意識させることは効果は高いと思われる。 しかし、従業員に無用なプレッシャーを与え、キャリアデザインを窮屈なものにしてしまう懸念もある。
むしろ「当社はグローバルビジネスをめざすものの、人財すべてにグローバル化は要求しません」と宣言してしまうのも重要なことではないかという率直な意見もあった。
グローバル人財戦略が、企業のグローバルな事業戦略を支援するものであるならば、グローバル人財強化を徹底的に目的志向で考えてみることによって、グローバル事業戦略に本当に必要な人財戦略が見えてくるのではないだろうか。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡 英幸)

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