人材総合ソリューション LYSITHEA リシテア

>お問い合わせ

HOME > セミナー/展示会 > 「ヒューマンキャピタル研究会2012」~HRイノベーターへの変革~ 第3回

セミナーレポート

「ヒューマンキャピタル研究会2012」
~HRイノベーターへの変革~ 第3回

テーマ 目標管理を有効に機能させるには
「目標設定と進捗フォロー、フィードバックのあり方を考える」
日付 2012/10/25
参加者 人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 11社
主催 株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
テーマ
目標管理を有効に機能させるには
「目標設定と進捗フォロー、フィードバックのあり方を考える」
日付
2012/10/25
参加者
人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 11社
主催
株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸

2008年7月より開催している日立ソリューションズ主催の「ヒューマンキャピタル研究会」、2012年度は、「HRイノベーターへの変革」をキーワードに全5回に渡り開催しております。
2012年10月25日に開催した第3回の研究会では、目標管理における課題について、フェーズを「目標設定」、「進捗フォロー」、「結果のフィードバック」に分けて議論しました。その模様を本レポートにてお伝えいたします。

目的、フェーズごとに課題が異なる

本研究会ではこれまで何度か目標管理について議論してきたが、その中で、目標管理における一般的な課題が見えてきた。
(過去の「目標管理に関するレポートはこちらをご参照ください。)

目標管理の目的はさまざまである。業績管理、部下の育成、評価など目的に応じて課題は異なる。たとえば、「設定される目標に難易度のバラツキがある」というのはもっとも良く聞く課題だが、評価が目的の場合、それは公平性の点で問題となるが、 部下育成が目的の場合は、必ずしも問題とは言えない。むしろ、部下の意思や能力に応じて柔軟に目標を設定できることは、育成の観点からは適切とも言える。

このように、目標管理における課題は、目的別にとらえなければならない。

また、目標管理を「目標設定」、「進捗フォロー」、「結果のフィードバック」という3つのフェーズに分けて考えた場合、これまで議論の対象とされてきたのは、ほとんどが「目標設定」、「結果のフィードバック」というフェーズについてである。

一方、設定された目標を実際に半年間などにわたって追いかける際の進捗フォローについては、これまであまり議論されて来なかった。目標を管理するという意味では、設定された目標を達成する過程においても、いかに支援あるいはマネジメントするかという観点が必要であろう。 今回は、目標管理を目的別、さらに「目標設定」、「進捗フォロー」、「結果のフィードバック」という3つのフェーズ別に分けて課題を考えた。【図1】

目標管理の目的の変遷

今回、参加者へのアンケートで、目標管理の目的について、第一から第三までの優先順位を聞いた。【図2】

その結果、参加者のほとんどが第一優先として挙げた目的は「業績管理の徹底」であった。そして、第二優先の目的は「マネージャの部下育成」に 集中した。これまでのアンケートで、目標管理制度導入の目的について複数回答で聞いたところ、【図2】の選択肢にある目的のほとんどを 選択する企業が多かった。つまり、目標管理はあらゆる効能を持つ制度として多面的に考えられていたわけだ。

しかし、運用上の課題を考えた場合、先述したように、ある目的においては問題でも、別の目的ではむしろ適切な場合がある。だから、目的の優先度を考える必要がある。改めて目的の優先度を問いかけた場合、圧倒的に「業績管理の徹底」が優先度が高くなった。それであれば、その優先度に応じた課題への対処が必要になってくる。

一方、制度導入当初の目的と実際に運用での位置付けが変わっている例も多い。当初は目標管理と評価は切り離していたが、実質的に評価としての色合いが強くなっている。あるいは逆に、評価指標として導入したものの、中心化の傾向が強まり、評価としての意味合いはあまり機能していない、と言ったことが発生している。

目標管理というしくみの本来の精神は、評価と目標管理は別であるというものだ。しかし、評価のための目標と、評価には直接関わらない別の目標の両方で管理されるということは、従業員にとっても納得しにくい部分がある。現実的に、マネジメントの現場では、二重のマネジメントが発生してしるケースが多いと聞く。

そもそも、個人の目標の総和が組織の目標であるべきで、そういう意味では、目標管理で設定される目標は、業績と連動されて然るべきものである。

ただ、結果評価というだけでは「管理」にはならない。そこで、業績目標に対するプロセスの目標を明確にすることが、目標管理である、という考え方を採用している企業もある。

ある企業では、業績目標に対するプロセスを定義し、それを目標管理の対象としていた。だが、プロセスは変化する。
目標達成に最適なプロセスが当初設定したプロセスとは異なる場合がある。そうなると、プロセスを定義し過ぎることで本来の目標と乖離してしまう。

そこで、この企業では、期初では細かくプロセスを定義せず、期末に結果をもとにプロセスをふり返り、プロセスを改めて評価する方向に転換した。

このように、目標管理を運用をしていくうえで当初の目的と実態が異なってくることの方が多い。大切なのは、重視する目的が何かを明確にし、運用に改善を加えることである。

「目標設定」、「結果のフィードバック」時における課題

3つのフェーズの中で、「目標設定」においてもっとも重要な課題とされたものが、「部下に対してミッションを設定するような目標」が設定できていないことである。

組織の目標があり、それを個人にブレイクダウンしたものが個人のミッションであり、目標である。適切にミッションがブレイクダウンされれば、前述したように、個人の目標の総和が組織の目標となる。しかし、実態はそうなっていないケースが多い。

極端な場合は、目標管理における目標は個人全員が達成しているにも関わらず、組織の目標が達成していないケースがある。

ある企業では、これまで個人が申請した何件かの目標を上司が承認する形式をとっていたが、それを、1件は必ず上司からミッションとしての目標を与える形式に変更した。

また、「結果のフィードバック」においては、これまでにも挙がっていた、面談の徹底と質の問題のほかに、評価のプロセスをどこまで透明化するかが議論になった。

ある企業では、上司との面談時において一次評価を確定させる。そして、その後事業部長や人事が評価し、第四次評価で最終評価が決定する。このとき、最終評価が一次評価よりも下がる場合がある。これまでは、一次評価と最終評価が異なった場合に、どの段階で評価が変わったのかが明らかにされず、不満が残っていた。

そこで、この企業では、最終評価に至るプロセスの中で、どの段階で誰がどのような評価したかを透明化することにした。従業員は、必要であれば評価の変更についての説明を直属の上司を通じて受けることができる。

これとは逆に、評価プロセスをあえて透明化していない企業もあった。この企業では、直属上司との面談時に一次評価を確定しない。おおよその見当はつけるが、最終的には相対評価で決まることを前提に最終評価を受け入れてもらう。

透明化し過ぎることで、面談が条件交渉の場になってしまうことを避けるためである。面談を本来の、目標に対する取り組みのふり返りや、キャリアに対する相談の場にしたいという趣旨である。

「最終評価に対する不満を人事部のせいにして、人事部が悪者になってそれで済むのであれば問題ない。現場の上司と、面談の機会を有効に使ってもらいたい」 という、人事担当者の考え方もあった。

進捗フォローにおける課題から見えてくるマネジメントそのものの課題

今回、初めて目標管理における進捗フォローというフェーズでの課題について議論した。そこで挙がった主な課題は【図3】の通りである。

この内容だけを見ると、進捗のフォロー自体がなされていない、とも受け取れる。

そもそも目標管理とは、日々のマネジメントができているのなら問題ないものなのか、目標管理の進捗フォローは別途行わなければならないのか。あるいは、目標管理において重要なのは目標設定と評価であって、進捗フォロー自体は個人の責任なのか。

参加者の声を聞くと、日常のマネジメントができていないわけではなさそうだ。となると、目標管理という別のマネジメントが発生していることになり、こちらが疎かになっているということになる。

たしかに、目標管理が形骸化しており、現場は現場で上司と部下が良好なコミュニケーションをとっており、マネジメントが問題なく機能している例は多いようだ。もし、そうであれば、目標管理制度など要らないのではないのだろうか。

研究会参加者のほとんどが、現状の目標管理制度が形骸化していたとしても、目標管理制度をやめてしまおうとは考えていなかった。

そこに、目標管理制度を必要とするマネジメント上の課題がありそうだ。そのもっとも大きな課題とは、「組織の目標を個人のミッションにブレイクダウンできていない」ということであると参加者の多くは考えている。

営業部門で例えると、予算をただ単純に数字で課員に振り分けるのではなく、組織の目標を、個人の力量や役割に合わせてミッションとしてブレイクダウンすることは、マネジメント的にはかなり難易度の高いことである。

必要なのはスキルなのか、時間なのか。その両方であるというのが参加者の意見だ。

十分な時間をとって、組織の戦略と部下のキャリアプランを考える。その時間がとれない一番の理由として挙がっているのが、プレイングマネージャが多く、マネジメントに時間を割けていない、というものだった。

たしかに、業務量としてプレイング要素の大きいマネージャ層はいる。しかし、議論を聞いていると、必ずしもプレイングの業務量の問題でもなさそうだ。むしろ、プレイングに意識が偏り、マネジメントへの意識が低くなっている ことが根本的な問題のようだ。

マネジメント層の本当の課題とは

解決策として多く挙がっているのが、マネージャに対するマネジメント研修の実施であった。しかし、ここで何を学ばせるのかを明確にしなければ、課題は解決しない。

組織目標に対して戦略を立て、部下へのミッションをブレイクダウンすることは、経営学的なスキル領域であり、そもそも日本の管理職教育では、そのようなスキル教育は管理職教育の中心ではなかった。

最近では、将来のトップマネジメント層候補の管理職に対して、包括的な経営スキルを教育しようとする取り組みが増えているが、一般的なマネージャ層には、そのようなスキル教育はあまり実施されて来なかった。

目標管理という制度は、今のマネージャの平均的なマネジメントスキルに対して、ハードルの高い制度と、という見方もできる。

「現場では確かに目標管理は要らないと言っている。ただ、人事がパッケージとして用意している入れ物の中にうまく収まっていないだけで、現場がイメージしているマネジメントに、人事が用意した目標管理という入れ物をいかにうまくフィットさせるか」
と語る参加者もいた。

目標管理は、それにフォーカスさせることで、マネジメントをテンプレート的に容易にするツールとなり得るかも知れない。

このミッション策定力とも言える能力を強化するために、バランスコアカードを採用し、全社の目標から個人の目標までを共通の枠組みでとらえようとしている企業もあった。

そこで、上手なブレイクダウンの例を、マネジメントの事例付きで社内に展開することを考えている企業もあった。また、見本になるような、上手なブレイクダウンの例を、マネジメントの事例付きで社内に展開することを考えている企業もあった。

目標管理制度は、運用そのものを通して、マネジメント層における課題を浮き彫りにするものでもある。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡 英幸)

勉強会レポート(総括版)ダウンロード

日立ソリューションズが主催した人事勉強会のセミナーレポート
を総括版として資料にまとめました。