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セミナーレポート

人事/労務リーダーの皆様による、情報交換会2011 第4回

テーマ 「新しい職能評価制度とキャリア開発視点での目標管理」
~これからは評価制度をこう変える~
日付 2012/01/27
参加者 人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 9名
主催 株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
テーマ
「新しい職能評価制度とキャリア開発視点での目標管理」
~これからは評価制度をこう変える~
日付
2012/01/27
参加者
人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 9名
主催
株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸

2008年7月より開催している日立ソリューションズ主催の「ヒューマンキャピタル研究会」2011年度は、企業にイノベーションをもたらす  "攻め"の人事/労務を目指し、全5回に渡り、勉強会を開催いたします。

2012年1月27日に開催した研究会では、第4回は、「新しい職能評価制度とキャリア開発視点での目標管理」をテーマに、議論しました。 その模様を本レポートにてお伝えいたします。

評価制度を議論するうえでの論点

評価制度と目標管理については、過去に本研究会でも議論をしてきた。

まず、評価制度については、

  • 評価基準/制度をいかに設計するか
  • 適正な制度運用のためのしくみは
  • 人事考課のバラツキをなくすためには
  • 評価を適正に運用していくための補完策
の4つの視点が主な論点になった。(詳しくは過去のワークショップレポートを参照)

評価基準/制度については、今回も過去の議論と同様、処遇は職務給から職能給へ、評価は成果重視から能力重視へと 転換してきていることが分かった。これまでの成果主義の反省点を踏まえ、業績によって報奨を与え、能力によって処遇する、 言ってみれば評価・処遇の本来のあり方へと回帰しつつあるようだ。

しかし、実際の運用では、「職能等級制度に沿って、役職に就ける際は一定の資格取得を条件にしている。しかし、まず昇格ありきで、後から職能資格を 付与するという状態になっている。」との声があるように、なかなか規定通りにはいかないことも多いようだ。

能力の評価を重視した職能評価制度を適正に運用していくためには、職能評価基準をより客観的なものにしていくか、 職務を通した能力面での成果を評価しなければならない。

評価基準を詳細にすれば絶対評価は可能か

能力を適正に評価するために、職能評価基準を詳細に定義することで、絶対評価は可能となるのか。

研究会で各社の職能評価基準について意見交換したところ、評価項目自体は、若年層とマネージャクラスでも似通っている場合が多かった。

研究会に参加するある企業では、マネージャと新入社員で10の評価項目のうち5項目が重なっており、どのように評価するかというレベルも 曖昧になっていた。結果として、考課者の感覚で決定しており、バラツキが発生してしまうため、今後は評価項目自体を変更するか、 レベル間の区分けをしようとしている。

また、ある企業では、マネージャ以外の従業員に対して、2つの職能等級を定義し、2つの職能等級の中で、賃金テーブルを細かく20数段階に 分けていた。能力の評価は2つの等級で評価し、成果と能力を組み合わせた評価項目を細かく設定することで、職能間の異動こそあまりないが、 能力の査定によって1年ごとに給与が上下するしくみにしていた。

評価基準はできるだけ客観化すべきであるというのは、研究会参加者の一致した意見であるが、一方で、評価基準をどれだけ詳細に定義しても、 絶対評価は限界があるという見方も一致していた。

「実際に運用してみると、評価基準を細かく作り過ぎないほうが良いと感じる。細かすぎると現場のマネージャだけでなく、 基準を作った人事部さえもその基準を把握できず運用が難しくなる。」といった声もあった。

実際には、マネージャの判断による相対的な評価というものが確実に介在する。ある企業では、一時期客観的で透明性の高い絶対評価を 目指していたが、必ずしも従業員の公平感を高めることには結び付いていなかったため、マネージャによる相対評価を明確にする方針に切り替えた。 それでもし疑問があればマネージャと徹底して議論させるようにしている。その方が現場の納得感は高いと評価している。

目標管理制度の課題

目標管理制度については、過去の研究会の議論でも、以下のような点が課題として挙げられている。

  • 目標設定の粒度がまちまち
  • 面談の徹底不足
  • 面談の質が把握できていない
目標管理制度は、マネジメント、育成、評価の概ね3つの目的で導入される。目標管理を評価目的で導入する場合、 「目標設定の粒度」が課題になってくる。

マネージャーによる職能評価は定性的な評価となる。目標管理制度で能力面の達成目標を設定し、その達成度合いを評価すれば、 能力を定量的に評価することにつながる。

今回、研究会参加企業すべてが目標管理制度を導入していたが、その多くが目標管理を評価と結び付けていた。 目標管理が評価に結び付く場合、現場ごとにバラバラな目標を設定していては、不公平となる。粒度をある程度統一することが必要になる。

目標設定の仕方については、各社ごとにガイドラインを設けているが、必ずしも粒度を統一できてはいない。粒度の統一は課題だ。 一方で、マネジメントや育成の観点では、従業員の意識に合わせて柔軟な目標を設定した方が好ましく、むしろ粒度の統一はマネジメントや 育成の観点では逆効果である、という意見も多くあった。

目標管理制度では上司との面談が必須になる。この面談の機会は、適切な目標設定と評価の場であるが、同時に従業員の納得感醸成の場でもある。

そもそも評価の目的が、従業員の成長を促し、高いパフォーマンスを引き出すことにあり、そのために公平な評価が重要な要素となっている。 極論すれば、客観的に見て適切な評価かどうかに限らず、面談の場で部下が納得感を得ることができれば、人事評価という営みの目的は 達成されることになる。

そういう意味では、評価そのものよりも面談の質が評価の質を左右してしまう。それだけに、目標管理の面談を徹底することが重要になるが、 面談の実施そのものはチェックを徹底しているものの、面談の質のチェックまでにはまだ至っていない。

マネージャに調査すると全従業員に面談を実施したことになっているが、数%の従業員は、「面談がない」と申告している例が各社で見られた。 上司にとっては「面談」でも、部下にとっては「面談」となっていないのだ。

このギャップを埋めるためには、面談を実施したかどうかだけでなく、適切な面談として満たすべき要素を定義し、その要素を満たしたかどうかを チェックしなければならないだろう。

純粋に面談の数を多くすることで、納得感を高めようとしている企業もあった。ある企業では、1年間で10回程度の面談の機会を設けていた。 上司と部下が普段からコミュニケーションできていれば面談の数は必要ないかもしれない。ただ、自身の評価に関して普段じっくりと会話する 機会はなかなか持てない。面談の数を多くすることは、納得感の醸成には効果を持つと思われる。

人事考課のバラツキ

様々に評価制度運用の仕組みを駆使しても、最終的に人が人を評価する限り、完全に正確な評価は不可能だ。人事考課者によってバラツキは生じ、 同じ考課者でも、評価対象や時期によってバラツキが生じる。

基本的にはマネージャの考課スキルの問題ではあるが、人事/労務としては、

  • マネージャー個人の考課スキルの向上
  • 組織全体で考課の質を平準化するための考課方法の共有の仕組み
に取り組む必要がある。

前者については考課者研修などを各社でも実施しているが、その中でも、先述したように面談スキルの向上は、今後より一層力を入れていくべき 項目となるだろう。

また、マネージャ同士が、各部門での人事考課の内容を共有する会議を実施している例も多かった。この場合、一般的には、会社全体で上限のある 考課点を調整してシェアする調整会議の色合いが濃いようだが、評価の仕方そのものについて議論し、調整会議を、評価方法や評価制度について 議論する場にしている企業もあった。

加えて人事/労務から考課者へ評価方法のアドバイスを行っている企業もあった。ある企業では、マネジメントスキルの高いマネージャが どのような評価を行っているのか、その方法などを伝えている。

アドバイスもあれば、牽制が必要な場合もある。ある企業では、人事考課が偏向気味のマネージャに対して、考課時期の直前に、 人事/労務から該当マネージャに個別に指導・注意喚起するという取り組みを始めようとしていた。現場でつけた人事考課の結果を後から 調整するのではなく、想定される問題に先手を打っておくという考え方だ。バラツキを後から調整するのは結局原資の分け合いとなり、 考課の適正さを問うものとは別議論になりがちだ。考課を適正化して、バラツキをなくすためには、効果的な手法かもしれない。

このように、評価制度の充実と並行して、現場で実際に考課を行うマネージャをいかにサポートするかという視点で、様々な取り組みを 行っている企業の事例が紹介された。

人事考課/目標管理のデータの活用

現在、人事考課や目標管理などをシステムで入力/一元管理しているケースが多い。単純に入力作業を効率化して、データを一元化できるだけでなく、 今後は蓄積したデータを分析に使えると良いのではないか。

人事考課の結果を全社俯瞰して見られれば、どこにバラツキが生じているか、バラツキの傾向がどうなっているか、一目瞭然となる。 また、たとえば、マネージャの人事考課の履歴を分析することで、その人の人事考課のクセがつかめるかもしれない。

さらに、マネージャの人事考課と業績、従業員のモチベーションなどを紐づけて分析できれば、組織的にマネジメント上の課題がどこにあるのか、 明確になってくるかもしれない。

現在、人事データ/人財データをシステムで一元管理しようとしている企業は多いので、ぜひこの分野についても今後議論を掘り下げていきたい。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡 英幸)

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