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セミナーレポート

人事/労務管理リーダーのための
「ヒューマンキャピタル研究会」第15回

テーマ 人財価値と生産性
「人事/労務が生産性向上にどこまで切り込めるか」
日付 2010/11/19
参加者 人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 11名
主催 株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
テーマ
人財価値と生産性
「人事/労務が生産性向上にどこまで切り込めるか」
日付
2010/11/19
参加者
人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 11名
主催
株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸

日立ソリューションズでは、人事/労務管理のリーダーの方にお集まりいただき、人事/労務管理に関する互いのナレッジを交換いただく、「ヒューマンキャピタル研究会」を、2008年7月より、定期的に開催しております。

2010年度のヒューマンキャピタル研究会では、「人財価値(パフォーマンス)を最大化するための人事/労務ミッションとは」をキーフレーズとして、さまざまなテーマで議論をしてまいります。

11月19日に開催した研究会では、「人事/労務が生産性向上にどこまで切り込めるか」について議論しました。その模様を本レポートにてお伝えいたします。

人事/労務は生産性向上への直接的支援をすべきか

人事/労務はこれまで、コンプライアンス、労働安全衛生管理などの観点から労働時間削減を進めてきた。

『労働時間×生産性=仕事の成果』という数式が成り立つならば、労働時間を削減しても仕事の成果を維持あるいは向上するためには生産性を上げなければいけない。これまでの人事/労務による労働時間削減のための施策は、労働時間の総量規制をかけたり、労働時間削減の重要性について啓蒙活動を行ったりすることで、結果的に従業員の生産性向上を促すことに繋がっていたが、これらは生産性向上への直接的な働きとはいえない。

本研究会のコンセプトでもある、従業員のパフォーマンスを最大限に引き出し、企業価値を高めることが人事/労務のミッションとすれば、今後、人事/労務は生産性向上にも直接踏み込むべきではないだろうか。

企業として、生産性向上のために必要なことは何かを、人事/労務担当者に問うと、以下グラフ【図1】の通り、参加者全員から「c.従業員の意識と仕事のやり方の変革」の回答があった。そして同率で、「f.現場の業務フローの改革」、「g.業務の効率性を高めるためのITツールの導入」と続く。

「c.従業員の意識と仕事のやり方の変革」、「f.現場の業務フローの改革」などの課題は、現状では個人や現場レベルでの尽力に過ぎず、抜本的な改善に繋げることが難しいのが現状だ。人事/労務が、労働時間の削減とともに、業務プロセスにまで踏み込むことができれば、生産性を高めることができ、またそれが必要だと自覚されている結果が表れた。

工程管理によって生産性の指標を明確にする

生産性向上のために人事として現在取り組んでいることを、アンケートで伺った。【図2】

いただいたアンケートの回答を上記【図2】のように、「人事制度/しくみ」、「マネジメント・現場への啓蒙/情報提供」、「業務フローの改善」の3つに分類した。「人事制度/しくみ」の観点からは、残業の事前申請など管理体制の強化、生産性向上に繋がるスキル開発支援、裁量労働制や在宅勤務など様々な就業制度の導入が挙げられた。

「マネジメント・現場への啓蒙/情報提供」では、ノー残業デーには社内を巡回するなど地道な啓蒙活動や、残業の実態を分析したデータを部門のマネージャに提供し、改善を促している企業もあった。

ここまではこれまでの人事/労務マターと言える。少し人事/労務マターから踏み込んで、「業務フローの改善」に直接結びつく取り組みとして、従業員のPC使用におけるログ収集を行い、どのような業務にどれだけの時間をかけていたか、工数や手順、方法を記録し、工程管理のような考え方で生産性の指標作成を試みている企業もあった。

またある企業では、在宅勤務制度を導入する際に、生産性を評価する指標を設定し、成果管理をしていた。在宅勤務の場合、マネージャが現場に不在なため、仕事の管理が曖昧になりがちである。在宅勤務者の仕事の管理を適正に行うために、業務内容をたな卸しし、各業務における生産性の指標を定め、それにもとづいて成果を管理するしくみをつくっている。

もともとは、在宅勤務制度導入にあたって、公正な評価やマネジメントをすることが目的であったが、人事/労務が生産性の指標づくりに踏み込んだ事例であり、このしくみは他の職種にも応用できると人事/労務では考えている。

現場の業務改善に人事が直接乗り出す

勤怠管理データをもとに、過残業の実態を現場にフィードバックし、改善を促している例は多いが、人事/労務が、実際に過残業の現場に乗り込み、業務改善を行っている事例が紹介された。

研究会に参加する、あるITベンダーでは、過残業のプロジェクトがあれば、システムの企画部門と人事部が協調して現場に乗り込み、勤怠データを元にヒアリングを行い、オーバーワークの人材への具体的な対策案を検討したり、過残業の原因がリソース不足にある場合は、人材を投入するなどの対策を実施している。

これまでも、人事/労務が現場に改善を促すことはあったが、現場に直接踏み込むことはなかった。非常に積極的な取り組みと言える。この企業では、人事/労務が実際に現場に踏み込むことで得た業務改善のナレッジを蓄積しており、それが現場の業務改善に生かされる、という好循環を生んでいる。

マネジメント力の強化

生産性の向上は業務フローの改善だけでは実現しない。やはり、現場の個人の生産性向上に向けた努力が必要だ。個人の努力を引き出すために重要なものとして、研究会では「モチベーション」が挙げられた。

その一方で、モチベーションが高く、仕事ができる人材には、仕事が集中してしまう現状がある。そのような人材は、のしかかってくる仕事を端正に捌いていくため、次から次へと仕事をふられてしまう。そのため、残業時間が増大し、表面上は生産性が低く見られることもある。残業時間の多さだけで生産性評価することはできない。

少ない仕事に時間をかけていくのか、多くの仕事をこなすために人より多くの時間を割いているのか、仕事の密度を見極め、適正に評価することが必要である。

モチベーションを与え、仕事の質を評価する役割を担うマネージャのマネジメントスキルは欠かせない要素である。

マネジメントスキルが重要であることを疑う企業はないが、実際にマネジメントスキル強化に多大な投資をしている企業は少ない。多くの企業では、管理職昇格時に研修をした後は、マネージャへのOJTという概念もなければ、恒常的な教育も行われていない。研究会に参加する企業の中でも、昇格時の研修や人事考課者に対する研修を除いて、定期的なマネージャへの研修を実施している企業はほとんど見られなかった。

生産性向上の目的だけに止まらず、人事/労務のミッションとして、マネジメントスキルを戦略的に育成することを、今後考えていかなければならないだろう。

(文責:株式会社ナレッジサイン 藤原 由佳)

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