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セミナーレポート

人事/労務管理リーダーのための
「ヒューマンキャピタル研究会」第3回

テーマ 「法令遵守と職場の実態のギャップをどう埋めるか」
日付 2008/10/21
参加者 企業の人事・労務管理担当者5社
主催 株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
テーマ
「法令遵守と職場の実態のギャップをどう埋めるか」
日付
2008/10/21
参加者
企業の人事・労務管理担当者5社
主催
株式会社日立ソリューションズ
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸

日立ソリューションズでは、人事/労務管理のリーダーの方にお集まりいただき、労務管理に関する互いのナレッジを交換いただく、「ヒューマンキャピタル研究会」を開催しております。

第3回のテーマは「法令遵守と職場の実態のギャップをどう埋めるか」です。法令の遵守は当然のことではありますが、職場の実態が、法令遵守という点で完全であるとは言い切れません。賃金支払い対象となる労働時間と実労働時間のギャップが生じるリスクに対して、具体的にどのような対策が取り得るのでしょうか。本音でのディスカッションの一部をご紹介いたします。

客観的データと自己申告時間の突合せ

各企業では就業時間をどのように管理しているのだろうか。

まず、就業時間の管理方法については、研究会に参加していたすべての企業で、就業時間の管理は、従業員による自己申告を中心に行っていた。また、ほとんどの企業では自己申告と同時に、入退室管理やPCのオン/オフ時間など、客観的な時間についてのデータも取得しており、この客観的なデータと自己申告のデータとの突合せを行っているようだ。

とは言え、従業員一人一人のデータを毎日すべて突合せてチェックすることは難しい。そこで、ある種「サンプル調査的」に突合せを実行している企業が多い。「毎回あまりにもギャップが大きかったり、完全にタイムレコーダーと一致している従業員を中心にチェックを行っている」「時々データを取り、差分が生じた理由を本人に説明させている」。このように頻繁にデータを突合せてチェックをすることで、ギャップの発生を発見した従業員にも正確な申告の意識づけになっているようだ。

また、タイムレコーダーのデータ、自己申告のデータを全従業員に対して公開している企業もあった。自身の過去の残業時間が見えることで、自分の「残業時間のマチ」があとどれくらいあるのかも把握・管理できるようになる上に就業時間が長時間化している社員に、周囲が気づき、声をかける、互助的な職場風土となるため、長時間労働を原因としたメンタルダウンを抑制する効果もあるようだ。

就業時間を何分単位で管理するかについては、労働基準監督署によれば「管理可能な最小限の単位」での管理が必要とのことから、ほとんどの企業が1分単位で管理・把握をしていた。「5分単位で管理をしていても、システムで管理をする場合には、数字を丸められる恐れもあるとの指摘があったため、現在は1分単位で管理をしている」。とは言え、何分単位での把握が必要かについての絶対的な基準はなく、担当の労働基準監督署によっても判断は異なることがあるようだ。

もしも労働基準監督署が調査に入ったら・・・

研究会に参加していた企業は皆、自己申告のデータと客観的なデータに乖離があった場合には、自己申告に準じた賃金を支払っていた。しかし、何かの理由で仮に労働基準監督署が調査に入った場合には、どのような対応が考えられるだろうか。

研究会に参加していたある企業によれば、重要なのは「データに相違があった場合に、その相違を説明できること」だと言う。「タイムカードで客観的データをとっていても、打刻忘れや打刻後の突発的な作業対応もあり得る。客観的データと相違が出てくる可能性があるのは、ある意味では当然だ。その場合にも、なぜ客観的データと異なるのかが、すぐに説明できるようにしておくことだ」。

このため、客観的データと申告時間に一定のギャップが生じる場合には、就業管理システムへの入力の際などには、自由記述欄へその理由を入力することを義務化し、システム上、これを必須としている企業もあった。

また、従業員が賃金や残業時間について相談できる窓口を、社内にできるだけ多く持つことも必要だろうという考えもあった。

法令遵守と人件費抑制は矛盾するか?

企業であれば法令遵守は当然のことだ。しかし、就業時間と支払う賃金の相対関係については、人事/労務管理リーダーたちはどのように考えているのだろうか。

結論から述べると、「可能な限り正確な就業時間に基づいて賃金を支払うことが最重要課題であって、人件費の抑制は全く別の問題である」というのが、どの企業にとっても基本的なスタンスだ。

「30分単位で残業時間を切り捨てていたとなると、2年前まで遡及しての支払いも求められる。過去30分単位で丸めていた分を2年前から支払うとなると、億単位の支払いになってしまう。逆に言えば、日頃から残業時間を5分短くするだけで、どれだけ人件費を下げることができるのかがわかる」。研究会ではこのような発言もあり、法令遵守を実現すると同時に、人件費に対するコスト意識を強めている企業もあった。

法令遵守と人件費削減は矛盾するのか。確かに実態とのギャップを埋めるという発想に立つと、瞬間的には支払い賃金は増大するかもしれない。しかし、就業時間を可視化することで、仕事のやり方の問題点も見えるようになり、社員一人一人の生産性、コストパフォーマンスを高めることができる。

法令遵守は会社全体の生産性を高めていく最初の一歩と言えるのかもしれない。

(文責:株式会社ナレッジサイン 森天 都平)

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