HOME > お役立ち情報 > 人事労務管理コラム > 長時間残業をどう削減できる?背景や原因・対策方法を解説

人事労務管理コラム

長時間残業削減

長時間残業をどう削減できる?背景や原因・対策方法を解説

長時間残業の削減は、多くの企業にとって大きな課題でした。成果主義を導入する企業が増えている今、徐々に「長時間働くこと=成果を上げている」という古い考え方はなくなってきています。そんな中、新しい働き方としてテレワークが浸透してきました。テレワークでは従業員の勤務態度・勤務時間の把握が難しく、場合によっては長時間残業が日常的になっていることが懸念されます。本稿では、長時間残業の背景や原因、削減するための方法をご紹介します。

長時間残業の削減方法をあらためて考えるべき時代に

近年、長時間労働にともなう生産性の低下、従業員の健康問題が顕在化しています。また、少子高齢化による労働力人口の不足も課題の1つであり、その解消のため、すべての労働者がワークライフバランスを保って働ける環境が求められています。

2020年4月の法改正において、これまで大企業だけに課されていた残業時間の上限が、中小企業にも適用されました。今回の法改正の目的は、長時間労働となりうる環境を変え、従業員がワークライフバランスを保って働けるようになることとされています。実際には、労使の間で、週40時間を超えた労働を課す場合に必要である労働基準法36条にもとづく、36協定(サブロク協定)を締結することが義務付けられ、月45時間・年間360時間という上限が設けられています。なお、これらの上限を超えて労働させた場合には罰則規定が適用されます。

この法改正により、これまで長時間残業に対して対策をしていなかった企業でも、従業員一人ひとりの労働時間管理が厳しく求められるようになりました。

長時間残業の削減が進まない原因

長時間残業の削減が進まない主な原因は、以下の3つです。

  • 生産性に対する評価が不十分
  • 仕事の属人化
  • 残業代が生活費の一部になっている

1つずつ、見ていきましょう。

生産性に対する評価制度が不十分

長時間残業の削減が進まない原因の1つ目は、生産性に対する評価制度が十分整っていないことです。

業務における生産性とは、人や時間、資金を投資して生み出される生産物の比率です。わかりやすい表現としては、同じアウトプットを同じ給与の人材が、他の人より短時間で終わらせることができれば「生産性が高い」と言うことができます。

企業によっては、働いている時間を中心に評価をしてしまうことで、生産性を上げて人より多くアウトプットをしたとしても、その人に対して評価がされないというケースがあります。そのような場合、結果として従業員が生産性よりも働く時間の長さを意識してしまい、長時間残業につながる可能性が高まります。

仕事の属人化

長時間残業の削減が進まない原因の2つ目は、仕事の属人化です。

仕事の属人化は、特定の従業員のみが担当する業務が発生し、その業務の内容や進行に関して担当者以外が分からなくなる状態を言います。仕事が属人化すると、その業務を担当者が集中的に対応することになります。そのため、勤務時間内で業務を終わらせることが難しくなり、必然的に残業時間が増す傾向があります。また、担当者以外の人が仕事を進める場合、疑問が生じるたびに問い合わせを行い、問い合わせを受ける側の手を止めることになります。そうなると本来のペースで仕事ができなくなり、業務効率低下につながります。

担当者を増やすことが難しい中小企業にありがちなケースですが、ナレッジの作成・共有、そして教育を確立し、特定の従業員にしかできなかった仕事を、ほかの従業員にも任せられるようにすることで解決を望むことが可能です。

特定の従業員に仕事が集中しないよう、同じように仕事ができる人材の育成や、サポートできる人材を育てることが重要と言えます。

残業代が生活費の一部になっている

長時間残業の削減が進まない原因の3つ目は、残業代が生活費の一部になっている可能性があることです。

基本給が低い場合、残業代で生活費を補うために長時間残業をしている人が、一定数存在しているかもしれません。

多くの企業では、労働時間が長くなるほど、給料に残業代が加算される制度になっています。そのため本来、仕事は効率よく進める前提があるにもかかわらず、残業代を目的にして、労働時間を延長する従業員は少ないとは言えず、残業時間削減には消極的になる傾向があります。

しかし、企業が黙認することで、「黙示の業務指示」とみなされる可能性があります。従業員に健康被害・事故が発生した場合に、「使用者の安全配慮義務違反」となることがあり、最悪の場合、損害賠償の問題にまで発展する可能性もあります。

長時間残業の削減を進める方法

長時間残業の削減を進める方法は、以下の3つです。

  • 職場風土を刷新する評価制度の構築
  • ナレッジの確立・複数担当制の検討
  • 労務管理の徹底

1つずつ、見ていきましょう。

職場風土を刷新する評価制度の構築

1つ目の方法は、職場風土を刷新する評価制度の構築です。

これまで評価軸が「労働時間」であった場合、評価軸を「生産性」に移行した評価制度の構築がおすすめです。成果物に加えてそのプロセスを評価することで、従業員は業務効率を上げて生産性の向上を計り、よりスピーディーに品質の高い成果物を出せるようになることが期待できます。

評価制度を見直すことが、長時間残業削減だけでなく、職場風土の刷新にもつながると言えます。

ナレッジの確立・複数担当制の検討

2つ目の方法は、ナレッジの確立・複数担当制の検討です。

長時間残業削減には、仕事の属人化防止・解消が必要です。そのためには担当者にしかない暗黙知をナレッジという形式知にすることが重要です。ナレッジが確立することで作業を平準化することが可能です。また、これまで担当者だけが知り得たことを、誰にでも分かるようにすることで、複数担当制を導入することが可能になります。

その結果、これまで一人にかかっていた負担を減らすことができ、担当者の長時間残業の解消、プレッシャーからの解放につなげられると言えます。

労務管理の徹底

3つ目の方法は、労務管理の徹底です。

勤怠管理システムが導入されておらず、エクセルや紙での管理の場合、フォローが必要な従業員の状況をタイムリーに把握できないなどの課題があります。適切な勤怠管理ができていないと、従業員一人ひとりの残業時間を確認することができず、長時間残業削減への対策を立てることが困難になるでしょう。

このような課題に対して、勤怠管理システムを導入することで、従業員の正確な労働時間が把握できるようになります。 その一例として、管理者が打刻とPCのログオン・ログオフの時間から、客観記録と実働時間の乖離チェックをすることができる機能を備えたシステムがあります。乖離チェックでは、打刻後も残業を行っていないか勤務実態との差を見抜くことができるため、このような機能を持つシステムを導入することで、長時間残業の防止が可能です。また、人事労務からは労使協定の時間を超えた残業に対する警告ができるため、組織的に長時間残業削減に向けての対策を取ることが可能になります。

ただし、勤怠管理システムを導入しても労務管理が徹底できていないケースがあることも現実です。労務管理が徹底できる機能が備わっているか、今後の法改正にも柔軟に対応してけるかなど、現在の勤怠管理システムを改めて見直し、しっかり運用していくことが重要です。

まとめ

本稿では、長時間残業の削減についてその背景や原因から対策方法まで解説しました。

2020年から施行された新たな法改正に大企業・中小企業問わず対応する必要があり、そのために必要なのが長時間残業削減です。企業は長時間残業が発生する原因を突き止め、それに応じた対策を取ることが求められています。

一つの方法として、業務の平準化を行い、必要以上に残業が発生しない体制を整えるとよいでしょう。また従業員の労働時間の管理には、勤怠管理システムの導入がおすすめです。従業員は簡単な操作で打刻ができ、管理者・人事総務では従業員一人ひとりの勤務時間の把握がしやすくなります。

長時間残業削減を進めることで、費用を削減しつつ、業務効率・生産性を上げて、企業の利益向上につなげられることが期待できます。

関連ソリューション

就業管理

リシテア/就業管理

業種・規模を選ばず、多様な雇用形態・勤務形態に対応できる。
就業管理システム。
[勤務申請][勤務承認][月次集計][休暇管理][残業管理][WEB打刻][MOBILE]
就業管理クラウドサービス

リシテア/就業管理クラウドサービス

「リシテア/就業管理」の豊富な機能を、セキュアなクラウド環境で提供。
クイックスタートが可能。
[勤務申請][勤務承認][月次集計][休暇管理][残業管理][WEB打刻][MOBILE]

同カテゴリー コラム紹介